2019年8月3日土曜日

特定技能の外国人材では人材紹介会社は、紹介業ではなく教育コーディネート業を

特定技能の件でいろいろな業者がべトナムに来ます。

外国人材事業の難しさも理解して真剣に取り組もうとしている企業も多い一方、中には安易な考えのところもあり、海外側とつながりができれば安くタダ同然に「仕入れ」ができ、日本の会社に高く売りつけられると考えているのもいます。

特定技能はN4+技能検定合格しなければならないので、教育コストとか誰がどう負担すると考えているのだろうか。

ベトナムの貧しい人だったら我先にと借金して1年も2年も無職で、面接に合格できるかわからないままそのハードルを乗り越えるための教育を受けるとでも思っているのだろうか。

そしてそのためには時間も1~2年かかりるので、業者がお金をもらえるまでに相当長い時間がかかるのも理解しているのだろうか。

ハードルなしで日本に行ける技能実習制度もまだ活発に動いているし、日本でなくても台湾もすぐに行けて給料も日本より若干少ない程度。

その中でわざわざ1~2年無収入で試験合格のためにがんばる人がいるのだろうか。いたとしても、日本に行ったら「日本人と同じ給料」で、それは月給50万円だなどとだまされて夢見ている人たちではと疑わなければならない。18万円程度の給料で、日本行きが補償されている状態でなければここまではがんばらない。

まともにやろうと思ったらまずはじめに面接や適性試験で合格したら日本行きを補償して、介護技能実習生のように日本側で教育費を20万とか30万負担しなければならない。それに加えて特定技能は監理費がないため、ベトナム側の収入になるように20~30万程度の紹介料などがベトナム側の制度で入る可能性がある。それが負担できる企業があるのか、負担したとしてもすぐに辞めたり転職するリスクがある。

こんな風に海外から人材をゼロから教育して連れてくるには金がかかりまくり、自分以外の誰かが負担してくれると思って安易に特定技能ビジネスを始めようとする人も中にはいる。

紹介料25%とかをアテにしていたら、教育費や手続きなど合わせて100万円ちかくいく。ベトナム側に紹介料を払うことになったら100万を超える。そのような話は現実的だろうか。

特定技能は、人材紹介会社をかませないで、企業が直接海外で教育して日本に入れるならよほど良い制度だと思う。コメダHDみたいに。人材紹介会社へ紹介料を60万くらい払う分を、教育に回すようにして。支援機関も通さずに自力で努力する。そういう企業には向いていると思う。

コメダHD、ミャンマーで店員養成 日本の人手不足で
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47915590Z20C19A7L91000/

日本では特定技能ができるときに直接雇用で現地送り出し機関いらないという情報が流れて、これで送り出し機関が搾取していた分を自分が搾取し、企業から紹介料もとり、登録支援機関もとって、支援費ももらって、まる儲けだ!などとそろばんはじいていた業者も多かったかと思います。

ベトナム政府側としては、自国の送り出し機関をスキップして、日本の人材紹介会社などが自国の若者を勝手にもっていこうなんて許せない!と感じたかどうか知りませんが、送り出し機関を通さなければダメ!ということにしたし、日本側との費用負担とかも細かく決めることになるので、費用が全く合わなくなり、スキップされるのは日本の人材紹介会社になるかもしれません。

そうなったときに「ケッ、ベトナムなんかもう時代遅れなんだよ!」とか言い捨ててミャンマーとかに出ていく業者も多いかと思いますが、そのガラリと空いた空白地帯にこそ地道に人材を教育して採用したい企業にはチャンスです。

このやり方だと、コメダHDまでとはいかずとも、ある程度たくさん採用したいところだったら、20人くらいひとクラス作って、日本語検定と技能試験を最優先にしながらも、入国後に役立つ業務トレーニングも積んでも良いかと思う。

「うちは2人とか3人でいいんです」というところでも、他の外国人を採用したい企業とグループを作って教育していく手もある。そしてその数社をまとめて教育するコーディネートを人材紹介会社がやると。

日本の人材紹介会社も「紹介料」などをアテにしていてはダメだと思う。教育コーディネート費用だとか、定着支援みたいなところで価値を出さなければならない。

毎月に近いくらいの頻度で日本語試験と技能試験が行われるようになってからの話ですね。それでも入国して採用となるまでには1~2年かかるので、かなり気の長い話になってしまいます。長期的な視野で経営しているところだけになってしまいますね。

ここまで書いたけど、特定技能を「直接採用」するメリットがあるか考えた。

仮に送り出し機関への
教育費 20万
紹介料 20万
チケット 5万

で、申請や支援計画の作成などは自分たちでやったとして45万。

特定技能の人材は最低18万出さないと来ないので、
18万x3年働いたとして最低648万。

全部で693万

技能実習の場合は、
初期費用全部込み 35万

給料15万x3年 540万
監理費3.5万x3年 126万 

全部で701万

監理費払うんなら給料にした方がいいと私も考えていますが、現実問題として技能試験の環境が整わない以上は特定技能では無理な話です。

トータルの金額的にはあまり変わりがない。しかし特定技能は面倒なことも全部自社でやる必要があるので社内コストは高くなる。

結論としては、技能実習で、企業、送り出し機関、監理団体と3社でどんな価値をどれだけ出せるかということに尽きますね。


2019年8月2日金曜日

特定技能に賭けて立ち上げたような会社は絶滅するかな

特定技能が日本で開始されてから4カ月。しかしベトナムをはじめ肝心の送り出し国の体制はできていない。

数カ月以内に送り出し国の制度的な目途はついてくると思うが、試験体制や教育体制などはどうだろうか。

うちの会社にも特定技能に関して問い合わせとかあり、別の事業をやっているような会社なら良いが、特定技能に賭けて立ち上げたような会社もあり、最近音沙汰もないので、今どうなっているのだろうか心配する。

特定技能で大儲けを期待している会社もあり、現地送り出し機関とさえつながりができればいくらでも「仕入れ」(言い方が悪くてすみません)ができると簡単に考えている人が多すぎる。

日本語検定4級に技能試験に合格しなければならない。このコストを誰がどう負担すると思っているのだろうか。

送り出し機関が安い人材を次々に「生産」して、それをタダ同然で安く仕入れて、年収の25%などの高値で、企業に売りつけ、その上登録支援機関の支援費として毎月2~3万もらおうなんて甘い夢を見ているように感じる。

外国から日本に行って、日本ででなんとかやっとこすっとこ単純作業ができるような状態にするのですら金も時間もかかるというのに、年収の25%で売れるようになるような人材に育てるには、比較にならないほど金も時間もかかる。しかも現状の環境であれば、日本語検定は1年に2回しかなく、結果が出てくるまでに2か月半くらいかかることも考えると待ち時間が相当にかかる。

2年近く日本語検定や技能試験の勉強をして試験や結果が出るのを待ってようやく日本に行く人の能力と、半年くらいしか日本語を勉強しなく日本に行った人の技能実習生の日本語能力や仕事のスキルにほとんど差がない。日本語に関しては20%くらいあるかもしれないが、そもそもが低いのでどんぐりの背くらべだ。仕事のスキルに関してはペーパーテストを受けただけで業務経験がないためほぼないため違いはほとんどない。

年収の25%+諸々の諸経費をはらってスーパー人材が来るのなら別ですが、そんなんだったら、素材の状態の技能実習生を入れて、自社で数カ月でも研修交えながら働いた方がよっぽど早く安いでしょう。

年収の25%といっても月給18万だとしても54万円。教育費にしかならんでしょう。すぐに行ける技能実習とか台湾とかもある中で、人材紹介会社の都合だけで特定技能を目指して2年も貧しい候補者たちが無職で勉強しているのだから、最低月2万くらいのサポートがなければだれもいなくなってしまう。その辺わかっているだろうか。

建築の特定技能で給料が25~28万くらいの人が出たが、そのくらいあれば、2年かけてでも頑張ろうとする人がいると思うが、18万程度だと自分がベトナム人だったら、2年も無職で勉強するよりも、すぐに日本に行って手っ取り早く15~16万で働いたほうがよい。

登録支援機関とか職業紹介業者は特定技能を入れたがっているが、それは企業のためでも人材のためでもなく、外国人を紹介してガバガバ稼ぐにはそれしかないから。技能実習は組合を立ち上げて監理団体の許可をとって、しかも非営利でなどとハードルが高いからできないから特定技能をやろうとしているだけ。

技能実習も関係者は悪い魂胆な人が多くて嫌ですが、特定技能もひと山当てたいと思っている人が多くてタチが悪いので、どっちがいいかといえば、技能実習の方がまだマシですね。