2010年11月27日土曜日

粟島報告:アブラコをワッパ煮に再び

昨日、一昨日と、ずっと興味を持っていて全然行けていなかった粟島についに行ってきました。

観光目的ではなく、粟島の海の磯やけや、地球温暖化などの問題を改善していくためのプロジェクトのための顔会わせでした。

磯やけの原因のひとつとして、山から流れ出る鉄をはじめとするミネラル分が、山が荒れていたり、河川改修などで海まで届かなくなったため、人間が鉄分がなければ生きていけないのと同様、海の植物や生物もほとんどいなくなってしまったことがあります。

そこで、鉄と炭をあわせて、鉄と炭素の電位差で、鉄がイオン化して植物プランクトンが吸収できる大きさに流れ出てるため、植物プランクトンが劇的に増え、そこに海藻が生えてきて、魚も戻ってくる。山や河川を自然に戻すという時間のかかることをやりつつ、失われた海の生命を蘇らせるために、大量の鉄と炭を海に散布するという計画です。

今まで、いろいろな漁業組合へこのプロジェクトの話を持ちかけてきたのですが、突然海のものとも山のものともつかない案を提案されたことで急にOKを出していただくことはできなかったのですが、回らせていただいたところから紹介に紹介を重ねて、粟島の漁業組合がこの問題に鉄と炭で真剣に取り組んでいるという話を聞き、連絡をして、一ヶ月以上した後にようやく訪問が実現しました。

チャコールブラックスとしては、鉄と炭を混ぜた団子である鉄炭団子の提供や、その散布時期にあわせた粟島ツアー、原料となる使用済みカイロの回収などで協力できそうで、そのほかにも島と本土をつなぐようなかかわりができたらと思っています。

このプロジェクトは粟島だけでなく、海の二酸化炭素の吸収量は陸地の数倍と言われているので、植物がいなくなった砂漠化した海の植物を育てる「海の植林」として、温暖化対策でもあり、多くの海が磯やけで苦しんでいるので、それを復活させていくためのモデルのひとつとなると思っています。

粟島では今は4人の中心メンバーがいて活動していますが、その4人からはじめた活動が全国や世界に広がっていくかもしれないなと思います。

前置きはこのくらいにして、写真を紹介しながら、海の磯やけの現状やプロジェクトの内容についても触れていきたいと思います。


新潟には珍しい絶好の粟島日和。


フェリーもなかなか大きかった。収容人数は500人弱のよう。


船の先頭にはいけなかったので、タイタニックの「I'm flying!」はできなかった。


さらば本州よ。


監視塔みたいなのか、こんなに高いやつに登る勇気はない。

船乗りはこういう訓練も必要なんだろうか。日露戦争のときの東郷さんとかは、こういう上に立っていたのだろうか。


島が見えてきた!結構でかい!と興奮。



本当に想像していたより大きい。パンフレットを見ると250m前後の山が二つもある。


話は突然変わりますが、漁業組合の参事の渡辺さんと、観光協会の神蔵さんに海の現状などを案内して説明してもらいました。

僕は山も始めたばかりで素人ですが、海については釣りもほとんどやったことがないし、ダイビング経験もないから全くわからない。

渡辺参事の説明によると、磯やけはこういうところから見てもかなり危機的状態にあることがわかるという。

昔はこういうところから眺めても藻場が見えたらしい。


すごく見えにくいというより、写真レベルでは確認不可能ですが、写真の真ん中の左端あたりにブツブツしたのが浮かんでいて、それが藻場。昔はこういうのが全面的にあったらしいけど、いまでは写真にも写らないほどの小さな点でしかない。

23年ほど前を境に、藻場が目に見えて減少していき、アワビなどの収穫量も3000~4000万個あったのが、今では300万個くらいだという。

「20年前の海はどこへ行った...」

と渡辺参事。


鉄炭団子の開発者である無有産(むうぶ)研究所の杉本幹生さんを講師として島に招いて勉強会を開催したときに、まず一緒に島を1周してくれた。

そこで杉本さんが行ったことは、

「砂浜が白いでしょう?昔は黒っぽくありませんでした?」

と言った。

そういえば、昔は黒っぽくて、砂鉄もいっぱいとれた記憶があった。

この黒っぽい鉄で、島全体が岩地のために昔からもともと山全体が貧弱で今も変わっていないため、山が荒れているからミネラルが海に流れなくなったとは考えにくい。

原因は砂防ダムではないかと考えられる。

砂防ダムが砂と一緒に鉄分が川や海へ流れ出るのを止めている。


こちらが鉄炭のプロジェクトの作業をしている場所を案内してくれている神蔵さん。

うしろに見えるのは、やしがら袋。

この中に使用済みカイロの中身を入れて海に設置するのも案のひとつ。


これは、ペットボトルにカイロの中身(主に鉄と炭)とクエン酸と水を入れたもの。

一晩くらいでカイロの中身はとけて、植物プランクトンが吸収できるレベルになり、これを川から海へ流す。


左は鉄炭だんごを作るために鉄と炭とおかゆを混ぜてこねたもの。左は冬の間に回収した使用済みカイロ。

粟島の中だけでカイロを回収しても人口が多いわけではないので、量は制限されてくる。

回収に本州から呼びかけることができると考えています。


粟島には竹炭プラントがあり、これがその炭窯。もとは瓦焼きの窯だったらしい。


これは神蔵さんが機械屋と作った竹酢液の蒸留装置。かなり本格的でオレも欲しい。


温泉のトイレにも消臭用に竹炭が置かれていました。


宿泊した民宿は、西側の釜谷の市左ェ門さん。

市左エ門さんのブログ。

http://blog.goo.ne.jp/itizaemon-oncha/


西側は釣りスポットとしていいようで、釣り客が多いらしい。

作家の椎名誠も直木賞を取るまで、毎年この近くのキャンプ場に仲間とキャンプに来ていたらしい。本でも読んだことがある。「あやしい探検隊」シリーズ。



今度は朝食。朝食ももちろん魚がメイン。朝には珍しくご飯を3杯も食べた。


食後は軽トラを借りて、島を一周してみた。

上の写真が、磯やけの原因のひとつとなっていると思われる砂防ダム。全国でかなりの量をつくったようで、この近くでもいくつも見た。



昨日の晴天とは世界がまるで違うような感じ。


これが山の上にあったバイオマストイレ。おがくずなどのバイオマスで分解される。使用後はかき混ぜるために、後ろの自転車を前後トータルで30回転ほどこぐ。


下の写真が、到着時から返るときまでお世話になったお菓子屋の勝っちゃん。

千代華というドラ焼きを半分にしたようなお菓子を作っていて、あずきは全て粟島産。

昨日は今日明日の池袋でのアイランダー2010というイベントに出品するためにたくさん作っていて、腹をすかせて通りかかったおれたちにも分けてくれた。

アイランダー2010
http://www.i-lander.com/


昼飯は民宿のおかみさんにお願いしてワッパ煮を作ってもらった。

ワッパという木の桶みたいな入れ物に魚と野菜が入っていて、そこに熱した石を投入して加熱する。

タイトルの「アブラコをワッパ煮に再び」というのは、昔はアブラコという、ワッパ煮に使う魚がたくさんとれたのだが、今ではあまりとれなくなってしまったから、スローガンとして考えているという。

しかし、記憶が定かではないので、「アブラコの海を再び」だったかもしれない。


数えたら、2日間で10匹も魚を食べた。帰ってからもおみやげにもらった魚を食べたので、11匹ちょい!新記録。



このように、島内のいたるところで使用済みカイロの回収箱が置かれている。


さらば粟島。次はツアーで人をたくさん連れて来ます。


というわけで、4月か5月の間に、何回かボランティアで作った鉄炭団子を粟島へ持っていって、周辺の海に散布するツアーを行います。釣りや魚や離れ島やおもしろそうなことが好きな参加者を募集します。

そこに至るまでに、鉄炭団子を学校や幼稚園の授業などで作らせてもらったり、炭焼き小屋に遊びにきてもらって団子も作ってもらうなどいろいろな作戦が必要なため、多くの人のご協力が必要になると思います。ご協力よろしくお願いします。

2010年11月18日木曜日

CNNニュース:「バイオ炭は地球を救えるか?」




http://edition.cnn.com/2009/TECH/science/03/30/biochar.warming.energy/index.html#cnnSTCVideo

ジョージア大学のキャンパスの農業用私道の線路を越えたところに、エネルギーや食料生産、そして地球規模の気候変動の解決策のひとつになり得る機械が置いてある。

「この機械は我々の子供のようなものです」と、UGAリサーチエンジニアのBrian Bibensは語る。Bibensは、炭素リサイクルの新しい方法の研究をしている研究者の一人。

Bibenの専門はバイオ炭。バイオ炭は、有機廃棄物から作った多穴質の炭。材料は、森林や農業の廃棄物、動物の排泄物などから作られる。木材チップ、とうもろこしの皮、ピーナッツの殻、鶏糞などである。

Bibensはそれらの有機廃棄物(バイオマス)を500度以上もの温度にも加熱する金属の八角形の容器に入れ、「熱分解」と呼ばれる方法で加熱する。

数時間のうちに、農業で肥料として使うことができる炭のペレットになる。熱分解の過程で出てきたガスは、バイオガスとして、車や発電機の燃料として使うことができる。

多くの科学者たちは、バイオ炭のことを、「黒い金」と呼ぶ。

高い炭素の合有量や、多孔質の構造は、土壌が水分や栄養分を維持するのを助け、微生物を増殖させ、炭素を自然に土壌に固定することにもなるので、CO2の削減にもなる。その結果、作物の収穫量を増やすことができる。

バイオ炭は2つの方法で大気を浄化する。ひとつは、有機廃棄物が自然分解される過程で大気に放出されるCO2を出さないようにすること。もうひとつは、光合成の過程で植物内にためたCO2も固体化しておくことである。

「土壌が巨大な炭素のプールになるのです。この炭素のプールを増やすことで、大気中のCO2を大きく減らすことができるのです。」と、バイオ炭研究の先駆者のひとりであるChristoph Steteinerは語る。「それは、カーボンネガティブのエネルギーを作る機会にもなり得るのです」。

世界的な規模でバイオ炭を使用することで、大気中のCO2を50年以内に8ppm削減できると、NASAの科学者であるジェイムズ・ハンセンは語る。

NOAAによると、地球規模の炭素濃度は1980年以降、警戒レベルにまで上昇している。1980年代には、年間1.5ppmの上昇だったところ、2000年以降、1年間で2ppmが当たり前になっている。

バイオ炭の製造プロセスは、価値のある他の製品の製造にもつながる。

製造過程で発生するガス(煙の中に含まれる)は、電気やガソリンに変換することができる。さらにいくつかの医療関係の製品も副産物として製造することができると、EpridaのCEOのダニー・ディ社長は語る。EpridaはジョージアのAthensにある会社で、バイオ炭やその製造過程の副産物の応用を模索している。

科学者はバイオ炭をよりよい未来のために使うことを考えているが、その起源は過去にある。

南アメリカのアマゾン流域に住む原住民たちは、何世紀もの間、動物の糞や木を炭化したものを「テラ・プレタ」を作るためにつかっていた。テラ・プレタとは、ポルトガル語で「黒い土」という意味である。

数千年後の今、テラ・プレタの土壌は何の肥料も加えていないにも関わらず、肥沃なまま残っている。

専門家はこう語る

「テラ・プレタの土壌は500年以上前に作られているが、現在でも黒く、炭素の合有量が非常に高い」

と、ジョージア大学のシュタイナー教授は語る。

より広い耕作地を作るために、森林を破壊することを防ぐことにもつながる。

テラ・プレタの土壌は数千年間も豊かな土壌のままでいられたというバイオ炭を使うことで、の農業使用のために今以上の森林破壊を防ぐこともできる。しかし、地球規模でバイオ炭を展開する前に、より大きな規模でテストをしていく必要がある。

ダニー・ディは、今まで捨てられていたバイオマスはバイオ燃料や電気、バイオマス抽出物、医療品など、バイオ炭だけでなく、という完全に新しい市場へ発展させることができると語る。

気候変動のリスクにさらされている30億人の人々が気候変動を解決することで、お金を稼げるようにできると、ディは語る。

産業界は世界中の農家たちに目を向け始め、農業廃棄物に対してお金を支払うようになり、農家たちは新しい富裕層になっていくだろうと、ディは語る。

GEがバイオ燃料へ投資。副産物としてバイオ炭。

GEが農業廃棄物や木材チップなどからバイオ燃料を作る会社の立ち上げ資金として、約6億4千万円の投資を決めたそうです。バイオ燃料を作る過程でバイオ炭ができてくるので、一石二鳥なわけです。

世界的な流れは炭焼きだけでなく、炭焼きの過程の煙をバイオ燃料にしていくやり方なんだなとわかりました。

バイオ炭の日本語の情報がネット上でも非常に少ないため、1日1本、海外のバイオ炭情報の記事を和訳して、調べて検索している人に少しでも知ってもらえるようにしようと思い、翻訳していますが、なかなか難しい…

聞いたことがない言い回しが多くありますが、ネットで検索すると出てくるものですね。

今日困ったのは、「gain steam」という単語ですが、「バイオ燃料市場で蒸気を得る?何のこと?」と困りましたが、検索によると、

"gain momentum"とか、"increase in force"と同じような意味だということで、「弾みをつける」ことだとわかりました。

少しずつ上達していくかもしれませんので、へたくそな翻訳にお付き合いください。

参考記事はコチラ

http://www.fastcompany.com/1703394/ge-north-bridge-invest-8-million-in-biofuels

http://news.cnet.com/8301-11128_3-20023064-54.html

投資を受けるCoolPlanet Biofuelsという会社のウェブサイト

http://www.coolplanetbiofuels.com/index.html

ニュージーランドで同種の事業にとりくむCarbonscapeという会社のウェブサイト

http://carbonscape.com/


*****************************

GEが先日行ったEcomaginationチャレンジという起業コンテストで優勝したCoolPlanet Biofuelsという会社の立ち上げ資金として、GEは800万ドル(約6億4千万円)の投資を決めた。この会社は、植物の廃棄物や木材チップなどをバイオ燃料にする会社。North Pridge Venture Partnersが支援する。

CoolPlanet Biofuelsはカリフォルニアを拠点にスタートしたばかりの会社で「木材チップや穀物廃棄物から炭化水素燃料を生産する革命的な技術を発展させていく。そのプロセスの副産物としてバイオ炭が製造され、これは燃料としても使え、農業の土壌改良剤としても使うことができる。」

これは完全に独自性のあるアイデアだというわけではない。ニュージーランドで始まったcarbonscapeという会社も農業廃棄物からバイオ燃料を製造し、副産物としてバイオ炭を製造している。

この投資はGEにとっては賢い選択だ。CoolPlanetはバイオ燃料市場の中で弾みをつけていくだろう。世界規模での燃料市場は毎年約4兆ドルで、バイオ燃料市場は現在はそのうちの本の一部に過ぎない。従来の燃料価格が上昇するにつれ、バイオ燃料はますます重要になってくる。そうなれば、GEとCoolPlanethaにとって大きな利益となる。

2010年11月17日水曜日

CNNのサイトでバイオ炭の記事 「 バイオ炭コンロで調理をして、温暖化を防ぐ」

今日のCNNのウェブサイトでバイオ炭の記事が取り上げられていました。

http://edition.cnn.com/2010/TECH/innovation/11/17/green.barbecue.stove/

****************************

バーベキューを愛する人たちへ良い知らせです。バーベキューをすることで、世界を救うことに貢献できるのです。

新世代の小さなバーベキューコンロで調理をすることで、CO2を削減することができる上、庭や畑の肥料にもなるのです。

そのコンロは庭の木を剪定した枝や葉などのバイオマスを燃料とします。「熱分解」と言われる、低酸素または無酸素でバイオマスを加熱するプロセスを通して、炭化してバイオ炭になります。

そのバイオ炭を庭や畑の肥料として使うことで、土壌改善にもなり、CO2を土中に固定することができます。ドイツのBayreuth大学の研究によると、バイオ炭を使うことで、痩せ地での作物の収穫量は2倍ほどになります。

Institute for Governance and Sustainable Developmentの設立者で米国環境法律の教授であるDurwood Zaelkeは、バイオ炭コンロの使用を提案しています。

「これはどんな人にとっても簡単に環境のためにできることです。植物は大気中から光合成を通してCO2を吸収してくれます。それに敬意を払い、感謝しなければなりません。これをバイオ炭にすることで、生態システムの中での炭素の放出を防ぐことができます。バイオ炭は、カーボンネガティブのテクノロジーなのです」

もちろん、バイオ炭ストーブで夏の料理コンテストをやっただけでは、グローバルな視野でみれば、微力なものです。

しかし、WHOによると、世界中では30億人の人々はまだかまどや焚き火で調理をしています。木や藁、動物の糞や石炭、炭などをつかっています。

これらの非効率な燃焼方法は、温暖化を加速させるだけでなく、彼ら自身が呼吸器や心臓の健康に悪影響を及ぼしています。WHOは、伝統的なストーブや火から出る毒性のある煙で毎年200万人もの人がなくなっていると言います。

国際バイオ炭イニチアチブによると、現在、2つのタイプのバイオ炭を製造する調理コンロ

があります。

ひとつは、Top-Lit Updraft Gasifierといわれるもので、シリンダーにバイオマスを詰めて、下から空気を送る物です。バイオマスに火をつけると、炎がシリンダーの蓋代わりになり、バイオマスが炭化していきます。調理が終わることには、バイオマスはバイオ炭になっています。

もうひとつは、アニラタイプストーブと言われるものです。これには2つのシリンダーがついています。内シリンダーは開いて、外シリンダーは閉じています。

たくさんのバイオマスを外シリンダーに詰め、少量を内シリンダーに詰めます。内シリンダーに点火すると、外シリンダーのバイオマスが熱分解をしはじめ、炎がでてきます。

国際バイオ炭イニシアチブによると、両方のタイプのストーブは身近な材料と道具でかんたんにつくることができます。

しかし、まだ大量生産モデルが市場に出ていないため、どれくらい効果的なものなのかあまり知られていない状態です。

Biofuelwatchというキャンペーン団体のAlmuth ErnstingがCNNに

「非効率的で危険な焚き火ではなく、燃焼効率がよく、安全な方法への選択肢を持つことは非常に重要です。しかし、バイオ炭ストーブが普及しているいう話を聞いたことがない。」

と語った。

しかし、調理をした後にバイオ炭ができるというのは可能性がある。

環境保護活動家であるジェイムズラブロックは、農家が農業廃棄物を使ってバイオ炭を工業規模で生産し、土壌に入れることができるようになれば、それはこの壊滅的な気候変動を避ける唯一の希望になる可能性がある。

Proceedings of the National Academy of Sciences誌に掲載された化学ノーベル賞受賞者であるMario Molinaなどの記事では、人類が大気中に放出したCO2は、バイオ炭などの隔離技術を使って取り除かない限り、数世紀も残ると書いている。

もちろん、全ての新しい技術が期待はずれや誇大宣伝である可能性はあるが、現段階では可能性を追求すべく研究が進んでいる。

Ernstingは、バイオ炭の肥料効果については疑問を持っている。「それが肥料になるかどうかは…非常に難しい構造であるし、長期間の実験はまだ行われていない」。

「どのような土壌なのかにもよるかもしれない。まだ誰も「バイオ炭にはこういう効果がある」ということは言っていない。我々がまだ知らないだけなのかもしれない。

(注:この辺、何を言っているのかよくわからなかった。すみません…。ただ、バイオ炭の肥料効果については、よくわからないため、「ホントかよ!?」と思っているようです)

このあたちがよくわからないので、それをアフリカやアジアの農家に推奨してもいいものかどうか心配している」

バイオ炭の肥料効果については、現在は多くの研究が行われている途上だが、バイオ炭コンロでバーベキューをすることは、気候変動を防ぐためのシンプルな方法であることには変わりはない。

地域のお店でこういうストーブが変えるようになることが必用である。とZaelkeは語る。

「これは我々が行動できることのひとつである。簡単だし、その効果は絶大だから」

2010年11月12日金曜日

動画:南インドでのバイオ炭事情

バイオ炭が世界的に注目されることによって、インドの農業にも変化がおきている。

もともと貧困の問題があったこの地域も、さらに追い討ちをかけるように温暖化の影響を受けていて農業にも影響を与えているようだ。

U.N.Ravikumar教授という農業科学者は、穀物を育てるのに向いていない土壌の南インドの農民に土壌にバイオ炭を入れることをアドバイスしている。

動画では、女性たちが乾いた葉っぱなどの農業から出る廃棄物を持ってきて、バイオ炭を製造する準備をしているシーンもあった。

何の設備もなく状態で、大量のバイオ炭を作っているのがすごい。

SCAD(Social Change and Development)という団体では、500以上の村にバイオ炭を紹介し、取り入れているという。

さらに、動画の最後のほうに出てくる円筒状の調理コンロは、多分アニラ・ストーブというやつで、僕が空き缶などで作っていたTLUDストーブの兄弟分のようなストーブ。

SCADでは、このストーブを25,000世帯に普及させると言っている。

動画では、ストーブの後ろから、おがくずを詰めていた。こういうものも燃料として使えることで、薪の使用は半分くらいに抑えることができるうえ、煙もほとんど出ないので、煙により調理をしている女性が健康を害することもない。

チャコールブラックスは、「Paint it charcoal black!(炭黒く塗れ!)」の標語の通り、炭を世界中の土壌にバラまくことで、世界の様々な問題を改善していけると思っていたが、昨日紹介したre:charの25歳の創業者や、この動画の教授やSCADという団体など、すでに一生懸命に活動されている方々がいるということは、やることないかなあ、と思ったけど、動画で紹介されているのは、インドでもまだまだ一部。世界的視点で見たら、ほんの一点。やらなければいけないことはまだまだたくさんある。



2010年11月11日木曜日

エル・ドラードの秘密


フランシスコ・デ・オレリャーナが発見した失われた町、エル・ドラード。

エル・ドラードとは、大航海時代にスペインに伝わっていたアマゾンの奥地にあるという先住民の伝説にある黄金でできた都市。

オレリャーナは、黄金を発見することはなかったが、8ヶ月にもなるアマゾン川流域の探検で、数十万人もの人々が住む巨大な都市を見つけた。

オレリャーナの報告によると、多くの密集した建物が15マイルほども続く美しい町で、そういう大きな町が川の流域にいくつもあった。土壌はスペインで見るような肥沃なものだったという。

しかし、数年後、別の探検隊たちがスペインから派遣されたとき、その町を見つけることができなかった。

現代の人類学者もエル・ドラード伝説をひとつの理由で否定している。土壌がとても痩せてるということ。アマゾン川流域は、土壌の浸食と、痩せた土地ということで悪名高い。多くの人口が密集した文明が起こるには、豊かな収穫ができる農業ができる必要があった。

それから500年の間に、南米ではアンデスの山奥にマチュピチュの遺跡が発見され、インカ文明の存在が明らかになり、中南米ではマヤ文明の遺跡も発見された。しかし中央アマゾンからは、ピラミッドも寺院も出てこなかった。ただ、広大な草原とジャングルだけだった。

アマゾンに住む先住民も、1万年前の石器時代の人類のような暮らしをしている。まるで何も歴史を持っていないかのように。オレリャーナの報告はうそだったのだろうか。


ペンシルバニア大学博物館のクラークエリクソンは、サバンナの草原の中に点在するいくつもの森の孤島。その森の孤島が自然のものではない証拠がたくさんでてきた。陶器や炭、食べ物の残骸、人骨。それは人々がここに住んでいたことをしめしている。

エリクソンの同僚のウィリアム・バレー教授は、先住民の言語の中に、農業をしていたらしい言葉がいくつもあることを見つけた。

さらに、川には洪水を防ぐための土手工事をした形跡もある。それは幅10~15メートル高さ2メートルもあり、現在までもよく維持されている。町と町をつなぐためと思われる道や運河もある。それはスペイン人がこの地へ来る前のものだ。

しかし、それでも巨大な都市が存在していたと証明する決定的な証拠がなかった。

食料。多くの密集した人口を養うためには、巨大な農地が必用であるはずだが、アマゾン川流域の土壌は、激しい日差しや豪雨のため、地球上でも最も農業に適さない土地だった。

決定的な証拠として、彼らがどのように痩せ地のアマゾンで食料を生産していたのかを証明しなければならない。

その証拠が見つかった。テラ・プレタと呼ばれる黒い土だった。

バイオ炭で社会起業

「外国でバイオ炭で社会起業している人はいるのかな?」

と思い、検索して知ったプリンストン大学出身の25歳の青年が立ち上げたre:charという会社。

しかもビジネスウィーク誌が選ぶ2010年のアメリカのベスト起業家の最終選考の25人に入っている。それだけでなく、数々の技術だったりエコだったりをテーマにした起業家としてもいろいろ選ばれている。


ウェブサイトを見ても何をやっているのかよくわからないので、紹介されているニュースなどを見ていくしかなかった。


会社のプロフィールを見つけて読んでみてみると、おもしろいことに活動地域が東アフリカとある。

資料によると…

東アフリカでは、4500万人もの小さな農家が食糧やエネルギーの欠乏や気候変動に苦しんでいる。

彼らは、地球上でももっとも痩せた土地で食べ物を生産することで生活をしている。

安定したエネルギーのない生活は、総収入の40%を違法に伐採されて作られた炭の購入費に当てられる。

さらに追い討ちをかけるように、気候変動のため、栽培は難しくなり、砂漠化も進んでいる。

re:charは東アフリカ諸国で、村単位の低コストで作られるバイオ炭製造の窯を作り、地元の人を雇用する。

バイオ炭は、農業廃棄物から作られた炭で、それは練炭などのように固めることで普通の炭のようにも使うことができる。

さらに、バイオ炭は、農業の土壌に混ぜることで、水の使用を減らし、収穫量が200%近くまで増加するほど土壌を改良する。

それだけではなく、バイオ炭を土壌に入れることにより、人類が排出する二酸化炭素の12%くらいまでを固定することができる。

2010年のテストプログラムでは、$1,000ドル以下のコストで、500の小さな農家の収入を2倍になり、使用する水や肥料は15%減少した。また、150台分のCO2の排出を相殺したと報告している。


興味深いのがプロジェクトのキャッシュフロー。

2010年は200万円ほどの黒字だけど、
2011年には1600万円の赤字。
2012年は3000万円の赤字。
2013年は3000万円の黒字を出し、
2015年には、17億円まで成長するとしている。


これは、2013年から黒字になるのは、このあたりからやっと利益が出るほどの窯の台数を東アフリカ諸国に展開できるからと書いてある。

相殺されるCO2の量も、2013年は前年の4倍くらいになっていて、2015年には、その100倍になっている。

これはどういうことかというと、ここには書いていないけど、現在の京都議定書では、炭によるCO2のオフセットは含まれていないが、それを変更するという動きもある。

この会社は、NASAのゴダート研究所長のジェームズ・ハンセンや、生物科学者のジェイムズ・ラブロックなど、発言力もあり、「地球を救う唯一の方法は、バイオ炭だけである」という人たちが顧問になっている。

2013年以降の数字がウン十倍になっているということは、2013年あたりを境に、炭の炭素も、CO2取引の対象になることが確実ということだろうか。

また、今は全然利益を出していなく、当分は赤字確実の会社が存続しているだけでなく、注目されているのは、グーグルやアマゾンもそうだったけど、将来性がある事業には投資化たちがお金を出し続けているからではと思う。

そう考えると、2013年あたりからは炭やバイオ炭をとりまく環境というのが全く違うものになっていくと思う。

下の動画が、創業者の25歳のプレゼンです。



2010年11月9日火曜日

エル・ドラードの伝説。


征服者フランシスコ・デ・オレリャーナがアマゾン川流域の人里離れたのリオ・ネグロ地方に入ったのは、1542年のことだった。

彼の目的はひとつ。黄金郷(エル・ドラード)を見つけ出すこと。

彼は黄金を発見することはできなかったが、現在ではその失われた都市だと信じられているエル・ドラードと、そしてより価値のあるものを見つけた。

数十万人もの人口を抱える都市同士が結ばれている、巨大な農地の中にあるまっすぐな50マイル以上の土手道。これがオレリャーナがスペイン帰国後に報告した場所。しかし、後に続いた探検家たちは、その伝説の都市を発見することができず、オレリャーナの報告はうその報告だとされた。

現代の人類学者もエル・ドラード伝説をひとつの理由で否定している。土壌がとても痩せてるということ。アマゾン川流域は、土壌の浸食と、痩せた土地ということで悪名高い。つい最近までは、この土地でオレリャーナが報告した都市のような、多くの密集した人口を養うことは不可能だと考えられていた。

しかし、失われた都市には、失われた秘密もある。2002年にデューク大学の科学者たちは、オレリャーナが正しかったことを証明した。そして、その発見は「エル・ドラードの秘密」として、45分のBBCのドキュメンタリーにまとめられた。


バイオ炭と社会起業

アショカ財団の日本法人ができるようなウワサを耳にし、

「社会起業」

という言葉を思い出した。


「そういえば、炭もしくはバイオ炭と社会起業のつながりって?」

と、思い、検索したけど情報ゼロ。

英語で検索したらたくさん出てきた。やっぱり海外と日本の炭事情というのはここでも全く違う。


一番トップに出てきたのは、25歳のre:charという会社を創業したason Aramburuさんという人だった。

http://www.examiner.com/green-technology-in-austin/biochar-entrepreneur-recognized-for-social-impact

以下は、記事の和訳

ちなみに、どんなことをやっている会社かウェブサイトを見てみたけど、長い間更新されてないうえ、シンプルすぎてよくわからない...。新聞記事などを参照してみます。オレもがんばろっと。

http://www.re-char.com/

*************************

バイオ炭起業家の社会的影響
2010年6月11日

オースチンを拠点とする企業re:charの創業者であるJason Aramburuは、Bloomberg ビジネスウィークの「アメリカのベスト社会起業家2010」のファイナリスト25人に選ばれた。ファイナリストは29日には5人に絞られる。200人以上の候補者が、「利益だけでなく、社会的、環境的に価値のある持続可能なビジネスの創造」という基準で選考された。

25歳のre:charのCEOは、サンアントニオで育ち、プリンストン大学を卒業。Aramburuは、バイオ炭の使用が広がっていくことで、発展途上国での食料生産に劇的な影響を与えると述べた。バイオ炭に使用が増大すれば、最大で毎年2ギガトンものCO2を、大気に放出するのを防ぐことができると、Aramburuは信じている。

バイオ炭は、林業や農業の廃棄物などのバイオマス資源から製造される。材料は低酸素状態で加熱することでを熱分解される。熱分解することによって、炭素を固体にし、大気上に放出することを防ぐことができる。バイオ炭は土壌に混ぜ、痩せた農地を豊かな土壌に変える。熱分解の過程で出てくる油を利用して、発電もすることができる。

バイオ炭の可能性については有名な科学者であるNASAのジョージ・ハンセンやジェイムズ・ラブロックのお墨付きもある。両者ともre:charの諮問機関のメンバーになっている。EDCOベンチャーというオースチンを拠点の非営利団体がre:charの発展をサポートしている。

2010年11月7日日曜日

空き缶を使ったウッドガスコンロ式炭焼き窯(TLUDストーブ)作成手順

空き缶をつかったウッドガスコンロ式炭焼き窯(TLUDストーブ)のマニュアルを作ろうと、今日も缶詰を食べたり、冷凍したりしました。

最近、どれだけの量のパイナップルの缶詰を食べただろうか。どれだけの量のトマトの水煮が冷凍庫で凍っているだろうか。

海外の途上国で、しかも砂漠化が進行しているようなところでは、これは葉っぱとか、ココナッツや米の殻や、細かい木の枝などで調理などの生活に必要なエネルギーになり、さらに収穫を増やすためのバイオ炭まで作れるという優れものです。

が、日本ではこれは生活に必要なものではありません。

アウトドアのバーベキューをしたいときは、便利なアウトドアグッズもたくさん販売されています。


それでもマニュアルを作って、このコンロを広めたいのは、現代人が失った火遊びを楽しんで欲しいのと、これで副産物として出てくる炭焼きも楽しんで欲しいからです。

炭は、海を蘇らせ、痩せ地を豊かにし、砂漠の植林の助けにもなり、日本の山でも問題になっているナラ枯れで枯れてしまった木を蘇らせることもできます。

そうすることによって、ナラ枯れが原因のひとつではないかといわれる最近の熊の以上出没を防ぎ、人間にもいいし、熊の命を守ることもできるかもしれません。

また、温暖化により、いよいよ世界中の農作物の収量が減っていき、もっと深刻な食糧危機も予測されていますが、炭を使った農業(炭素農法)には、気候変動にも対応できることも期待されています。

また、炭は植物が本来放出するはずだったCO2を数千年間も固体として固定することになるので、温暖化の原因がCO2である場合(これには大きく科学者の意見が分かれている)、温暖化を防ぐ役割も果たす。

そういうことを、わずかな数の炭焼き職人たちが行ったとしても、炭の量には限界があるし、炭焼きを仕事にする人も、生活がかかっていますので、全部山や海や砂漠に撒いたりするわけにはいきません。

「大きなプラントを作るか、それともわずかな量を生産する人がたくさんいればいいか?」

の問いへの答えは

「その両方」

だと思っています。


マニュアルを見たり、実際に体験した人が、自宅の庭で、煙も出ないので、一杯のコーヒーやインスタントラーメンを炎を眺めながらつくり、その結果できた炭を、自分の庭や畑に使ったり、磯やけ対策、砂漠の植林、ナラ枯れ対策などに使うために集めてもらえたらなと思っています。

ついでに剪定材の処理なども炭になるのでゴミが減り、自分の家の周りもきれいになります。

それでは、最小バージョンのウッドガスコンロ式炭焼き窯作りの手順です。


【材料】

・パイナップルの缶(アウター缶として。普通のトマト缶やコーン缶より少し大きい)
・トマト缶(インナー缶)
・サバの味噌煮もしくは水煮缶(煙突及びナベ置きとして)





【必要な道具】

・ハンマー
・大きめの釘
・ペンチ
・金切りはさみ
・穴あけつきカンオープナー


【手順1】

インナー缶(トマト缶)の底にクギで穴をあける。できるだけたくさんあける。


クギの大きさによって穴の数も変わってくる。

上はかなり太いクギであけた場合。下は、細めのクギなので、穴の数が多めになる。


インナー缶(トマト缶)の輪郭を紙に写す。



切り取り、半分の半分の半分に折る。


これを開くと、円が8等分されているので、ペンでわかりやすいように印を書いておく。


それをインナー缶(トマト缶)にの底に乗せ、外周8箇所にペンで印をつける。


カンオープナーの穴あけ機能のところで、印をつけた場所8箇所に穴を開ける。


インナー缶(トマト缶)の上部は、5mくらいの隙間でできるだけ多く穴をあける。


底部分の穴あけしてひらひらになった部分を、ペンチで押さえて平らにする。


上の方は、空気がまっすぐ上がるように、ひらひらを上向きにし、


丸める


アウター缶(パイナップル缶)の底の真ん中に穴を開ける。

上にサバ缶を乗せてみて、サバ缶よりもちょっと小さめになるように、まわりの8箇所穴を開ける。

真ん中の穴と各穴を金切りはさみで切る。


と、こうなる。


ペンチで上向きにする。


そして、金切りはさみで、上げた部分を切り取る。


と、こうなる。





インナー缶の上に、アウター缶をかぶせる。

インナー缶は、上向き。アウター缶は、下向きに。


すると、このように綺麗にすっぽりと収まる。



【煙突兼五徳】

サバ缶も、円を8等分した紙で外周に印をつけていく。


カンオープナーで底を切り取る。


カンオープナーの穴あけ部分で、上下各8箇所の穴を開け、ペンチで上部のひらひらは上向きにする。下はそのまま。


それを、アウター缶に乗せて完成。

できれば、安定性を増すために、アウター缶の穴と、サバ缶を針金で結びつける。