2010年9月30日木曜日

材料切り開始

炭焼きの疲労のため、ブログの更新が途絶えがちです...

本当は記録しておきたいことがたくさんあります。


今日からまた新たな材料を切りに行きました。材料切りは数週間ぶりなので、伐採フィットネスがなくなっていました。

軍手も滑り止めがない軍手を使うと、やっぱり握力を通常以上に必要とするんだなと思いました。

それでも2窯分くらい切ったかな。5~6窯分くらいは数日かけて一気に切るつもりです。

2010年9月27日月曜日

Lifeline Fund

アメリカのLifeline FundというNPOが、ハイチやウガンダ、ケニアなどの貧困国で、TLUDストーブというストーブを普及させているそうです。

葉っぱとかを入れると、ガスコンロのように葉っぱを熱分解したガスが燃えて料理ができ、さらに調理後は炭ができていて、それをさらに燃料や農業用などとして販売することで貧困脱出を目指しています。

http://www.lifelinefund.org/

特にハイチでは、生活エネルギーのほとんどを薪や炭に頼っていたため、大地震後、大変高額になってしまって、手に入りにくいものになってしまったそうです。

ハイチやウガンダやケニアでは、生活エネルギーのための森林破壊で森林がほとんどなくなってしまっているので、森林破壊を改善するひとつの方法ともなりそうです。

英国大使館のウェブサイトにバイオ炭の記事

英国大使館のウェブサイトに、バイオ炭についての記事が出ていました。

これによると、今年度のIPCC(気候変動の関する政府間パネル)のレポートに、バイオ炭が登場することです。

http://ukinjapan.fco.gov.uk/ja/news/?view=News&id=22692423

とてもありがたいことです。

しかし、IPCCという名前が出てきて頭に浮かんでくるのが、


「地球温暖化とは、本当にCO2が原因なのだろうか?」

ということです。

「地球温暖化とは、でっちあげで、それは原発を推進し、炭素取引などの錬金術であり、発展途上国の発展を妨げるもので、科学的根拠は全くない」

という意見もあります。


僕の個人的な考え方では、CO2という自然界にある特定のものが地球を破滅に追いやるなどとは考えにくい感じがします。


かといって、

「地球温暖化は詐欺だ」

という人たちが言うことにも納得はできません。

スーパーでおばちゃんがマイバッグを持って買い物をしているのを見て、

「無駄なことをしている。バカじゃないのか」

といった似たような話が、「地球温暖化は詐欺」と考えるブログなどに多く載っていました。


温暖化の問題がCO2が原因でないとしても、使い捨てをしないということは重要だと思うし、温暖化が人為的なものでなかったとしても、我々には、「ピークオイル」という問題もあるからです。

オーストラリアの炭おやじ

炭を5窯焼いて、久々にゆっくりとパソコンに向かっています。

途中、柏崎のラーメン屋の「渚」さんに何度か食べに行きました。

雨の山でほぼ2週間、ひとりで早朝から日が暮れてからも作業していたので、おいしいラーメンと満腹感と、にぎやかな感じが恋しかったのです。

バイオ炭のことをいろいろと調べていたら、オーストラリアでバイオ炭の活動を一生懸命にやっているオヤジのウェブサイトを見つけました。

http://biocharproject.org/tutorial/videos/

「40過ぎて、バイオ炭と出会ってしまった…」

と、ツイッターのプロフィールに書いて、この40オヤジも世界中に散らばっている仲間のひとりなんだと感慨深いものがありました。

上記のURLのビデオでは、彼がバイオ炭を作る過程をビデオに収めています。

2010年9月22日水曜日

現場主義

1週間ちょいかけて、竹炭の白炭を4窯分焼きました。

白炭焼きの洗礼を受けました。

炭には、黒炭と白炭がある。

黒炭は窯の中に材料を入れて、乾燥焚きから初めて、少しずつ温度を上げて炭化していき、炭化が終わったあとは窯口と煙突を閉じて、1週間くらいかけて消火する。

白炭は、炭化が終了した後は、窯口と煙突を広げ、空気をジャンジャン送り込んで、最後の一撃を加えることで温度を上げる。それによって炭が引き締まって硬くなり、そのまま鉄の棒で引っ張り出す。そして、「スバイ」と呼ばれる湿らせた砂と灰の混ざったものをかけて消火。物を入れると火をつけて燃えてしまうような温度の窯に材料を入れて、再び炭化を始めていく。


白炭は、黒炭にくらべて、窯の回転サイクルが非常に速い。早いだけでなく、高温で焼くことができるので、白炭は電気をよく通すため、還元作用が強いと言われている。また、純度が高いために、炎を出して燃えることがなく、お茶や料理など、室内で使うこともできる。


回転サイクルが非常に速く、通常は

1日目 窯出し。それから材料をいれ、口火焚きをし、炭化を開始。出てきた炭をふるいにかけて選別。

2日目 材料の切り出し。90cmの長さにそろえ、2~3本ずつ紐で縛る。

3日目 1日目と同じ。

と、これを繰り返す。


材料の質や、立て込み方によっては、2日目にはもう炭化が完了していて、出せる状態になってしまうので、休みが全くなかった。

のこぎりやナタや、その他の道具は握る系の道具が多いので、すでに握力の感覚はない。

もうちょっとしたら、たぶん握力がつきすぎて、片手でりんごを粉々にできる北斗の拳のようなパワーになっているに違いない。


炭焼き小屋から家に帰ってきて、夕食を食べ、翌日のおにぎりを作り、洗濯をし、コンピュータを開いてメールをチラリと確認し、電源をつけっぱなしで(自動的に消える)寝てしまう。そして翌朝、明るくなる前に起きて出て行く。


昨日、ついに体力の限界が来てしまい、半日の休みをとった。ラーメンを食べて、本屋へ行って、バタンと倒れてしまった。今日は山で切りっぱなしていた材料をとりにいってから、明日からの再スタートのための買出しをし、92ちゃんにチェーンソーの刃の交換やメンテナンスをやってもらった。

明日からまたシゴキのサイクルが始まる。慣れるだろうか...


その後、西山さんのところに行くと、発売当時に読んだ覚えのある稲盛和夫さんの「生き方」という本が置いてあった。






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本の中のエピソードで、教えてもらったものがある。


その昔、本田宗一郎さんの話が聞けるということで、2泊3日の温泉旅館での経営の勉強会に参加した。みんなで風呂に入って、浴衣を着て講師の本田さんが来るのを待っていた。

遅れてやってきた本田さんは、遅れた上に、油のしみついた白い作業服を着ていて、こう一喝した。

「皆さんは、いったいここへなにをしにきたのか?経営の勉強をしにきたらしいが、そんなことをするひまがあるなら、一刻も早く会社へ帰って仕事をしなさい。温泉に入って、飲み食いしながら経営を学べるわけがない。それが証拠に、私は誰からも経営について教わっていない。そんな男でも会社が経営できるのだから、やることは一つ。さっさと会社に戻って仕事に励みなさい。」


高校生くらいのときに、よく本田宗一郎さんの本を読んで憧れていたので、本田宗一郎さんらしいとうれしくなってしまった。

そして、この本田さんの言葉は、僕が「なぜ炭を焼いているのか」というひとつの答えでもあるように感じた。


エコとか地球のためにとか、未来のためにとかで集まって勉強や話ばかりしている時期が僕にもあった。仕組みづくりとか、仲間作りとか言っていると、なんとなく行動しているような気分にもなっていた。しかし、実際には何も行われず、勉強して満足をしていただけだった。

今の時代、人は体を動かさなくなったようで、現場で実際に家を作る大工は不足しているけど、建築家になって、大きな視点で管理したい人は多いと聞く。

エコとか環境活動とか、市民活動とかも、人を動かしたい人ばかりで、実際に体を動かして微力を尽くすというような人はあまり見当たらないように思えた。というより、実際に行動を起こしているような人は、本田宗一郎のようにそういう場所には出ていかずに、コツコツと前に進んでいるのではないかと思う。

2010年9月19日日曜日

おにぎりの具

明日は今秋3回目の窯だし。

炭焼き小屋に行くときは、おにぎりを持っていきます。朝が早いので、朝食を普段は食べないけど途中で腹が減るので、朝も昼もおにぎりです。

しかし、具はない。塩だけ。

これを「塩むすび」というのかはわからない。

数ヶ月前、お決まりのようにTBSの番組を見ていたら、多くのお年寄りが、コンビニのおにぎりに「塩むすび」があったらいいのに...という話をしていた。お年寄りには、コンビニのおにぎりコーナーにならぶ派手な名前の具のおにぎりが苦手だという。

それ以来、「塩むすび」とは何だろうか...というのが俺の疑問のひとつとなった。

今のところの答えは、「具のない、塩味だけのおにぎり」。間違っていたら誰か教えてください。


ただし、具のないおにぎりを食べているのは、それだけの理由ではない。具にする食材を持っていないからだ。

「梅干がいいだろうか。かつおぶしがいいだろうか。それとも鮭だろうか...」

と考えると、

「特に必要ではない。あまり魅力を感じない。」

と思ってしまう。

食材の魅力に対し、めんどくささが上回ってしまうからだ。


それでも、塩だけのおにぎりが、今後も一日のうち2食が毎日続くと思うと飽きてきそうなので、なんとかみ力的な食事にしなければならない。

そこで、「おにぎりの具」

で検索してみた。予想通り出てくる出てくる。読んでいるだけでよだれが出てくる。しかし、冷蔵庫の中には、特に使えそうな食材はない。明日も塩むすびだ。

明日は時間と体力が残っていたら買い物に行こう。

炭焼き小屋から出てくるときは、あまりに服も顔も泥だらけ、炭だらけになっていてとても恥ずかしくて買い物に行く勇気がない。

シャワーを浴びてから行こうとしても、力尽きてしまう。


ちなみに、作ってみたいと思ったおにぎりの具は下記のヤツ。

ねぎみそに似てるんだけど、うちのおにぎりの具の定番は、「ネギのみじん切り+かつお節+生醤油+卵」
これを鍋に入れて火にかけてぐるぐるーっと箸で混ぜながら火を通したやつ。
にんにくのすりおろしをちょっと入れてもうまいよ。
参照サイト「おにぎりの具」
http://sagisou.sakura.ne.jp/~sakuchin/kazumi/02/24.html

2010年9月14日火曜日

集中豪雨対策

今年の夏は、日照りがずっと続いたかと思うと、集中豪雨。

雨が降ると、なんかの注意報が出ている。

日曜日は、かなり降っていたので、外出をしませんでした。

窯のある西山町の方は、もっとふりまくっていたようで、土砂崩れだとかあったらしい。


当然、炭焼き小屋も無事であるわけがない。

一番のショックは、炭焼き小屋の中が川になっていたこと。

昨日の午後から晴れたので、今日も天気予報が晴れだったので大丈夫だろうと思っていたけど、夜中のうちにどっさりと降った。午前中もかなり強い雨が降った。

また川になるほどはいかなかったけど、地面がずっと濡れた状態だと、炭を焼いても出すことができない。

窯の外に水路を作っても、土の中にしみこんだ水が湧き上がってきているようなので、考えた末、小屋の中に水路を作ることにした。



水源地を少し掘るだけで、水が湧き出してきた。これが染み渡ってきて、床全体がびしょ濡れになっていたのだろう。




ずっとほり進むと、まるで川のように水が流れてくる。掘ってよかった...


水路は外まで続く。

この竹をX字に立てているのは、ここで材料を切ったり、紐で縛ったりする作業場だから。

せっかく作った作業場が...


今日は午後から、鉄炭団子のことで、漁業組合から市役所、コミュニティセンターと渡り歩いたので書きたいのは山々ですが、疲れた...ので後日。

2010年9月13日月曜日

チャコール・クッキーのレシピ

先日、出店させていただいたyasutacafeというイベントで、出させてもらった炭クッキーがえらい好評で、

「作り方を教えてください」

という人が続出しましたので、こちらにアップします。


最初作って味見したときは、

「ウワッ!マズっ!」

と思って、こんなものを出してもいいものかと思ったけど、食っているうちに全粒粉とかてん菜糖が入っているために、玄米クッキーみたいな味がおいしく感じてきました。

バターと砂糖と、つなぎにちょっとの小麦粉をつかったカントリーマァムのようなアメリカンなクッキーも大好きですが、この味もなかなかのものです。


【材料】

中力小麦粉(全粒粉配合) 50g

てんさい糖 20g

サラダ油 20g

塩 ひとつまみ

竹炭パウダー 小さじ 1/2


【作り方】

材料を全部ビニール袋にいれて、材料を揉みながら混ぜ合わせる。

記事を適当なサイズにまとめ、手で押しつぶすような感じで、クッキーの形にする。

(お好みで型で切り抜いても良い)。

180度のオーブンで20分間焼く。

DIYしていました

しばらくコンピュータを開きもしていなかったし、ブログの更新も怠ってしまった。

報告することは山ほどある。

が、古い話はすっとばして最新の出来事。

下の写真は、木酢液や、竹酢液を採取する装置。


木酢液や、竹酢液というのは、炭焼きの煙を冷やして液体化したもの。炭焼きの煙は、煙というよりも水蒸気に近い。材料が熱分解して、炭素は炭という固体となって残るが、それ以外の成分は分解され、水蒸気と一緒に飛んでいってしまう。

木酢液や竹酢液には、驚くべき効果があるのは、木や竹の生命エネルギーみたいなものが凝集されたものからかなとも思っている。

煙突をできるだけ長くすると、煙が外の空気で冷えて水滴となって、落ちてくる。落ちてくる下に水路みたいなのを作ってあげて、最後に容器を置いておくと、そこに木酢液や竹酢液がたまっているという仕組みだ。

土曜日は、その採取装置の改善を行った。

今までは、煙突が1本だったので、煙突に吸い込まれずに、散って無駄になる煙が多かった。

なので、念願の煙突2本制にした。下の写真がその装置。


師匠の藤田さんが作ってくれたものに手を加えて作った。ので、黒いところと、白い部分と黒い部分に分かれている。

しかし、これも1回炭を焼くだけで、同じような色になるに違いない。

煙突の刺さっている丸い形状は、糸ノコで切った。電動糸ノコは、工作の授業で使ったことがあるけど、手動糸ノコを使ったのは初めてだった。なかなか思うような形状にならずに、えらい苦労した。

そういえば、藤田さんは、この装置をアッという間に作っていたよな...30分もかからなかったような。分解してみると、アッという間に作ったとは思えないくらいつくりがしっかりしたものだった。



そして、今日、天気が回復してきたので、いよいよ窯に火を入れようと炭焼き小屋に行ってみると...

1.作業場の屋根のブルーシートが飛んで行ってる!

2.小屋が川になってる!

3.窯の中にまで水がしみこんでいる!

の3つの恐怖体験があった。

「これが自然というものか...」

と思いながらも、

「なんでこんな目に...」

と、数十分間、うなだれてしまった。


しかし、じきに気持ちは復活した。水害だと思って、復旧作業をするしかない。昨日は洪水になるような雨だったようだし、仕方がない。


応急処置は施してきたけど、応急処置をするために、あたらな道具をひとつ作ってしまった。

それが、コレだ。



煙の採取装置を作ったあまった板と、その辺から切ってきたまっすぐそうな木を組み合わせた。


板と棒をくっつけている構造は、この割れ目に突き刺さっているやつだけ。

いろんな工具を見ているうちに、だんだんものの構造がわかってきたようで、実際にやってみたら、うまくいった。


一昨日、窯を暖めるためにしばらく火を焚いていたので、その灰が水分を吸収していたので、これをつかって、濡れて泥のようになっている灰をかき出した。

明日は、また火を焚いて、窯を乾燥させて、明後日から火を入れられるようにしたい。


あと、最近作ったのは、これだけでなく、自宅でもDIYしまくりだ。

まず、不便な押入れのサイズを上下に分割するために、棚のようなものを作った。

キッチンの床が、キッチンのくせに水に弱い材質だったので、フローリング風のカーペットのようなものを買ってきて、それをサイズに切って貼り付けた。家具の移動で疲れた。

最近はそんなことで疲れてブログもかけなかったのかもしれない。

2010年9月9日木曜日

究極のカレー作り

さて、今日はカレー何日目だろうか。

昨日、一昨日と近所で炭を焼いている行田さんが、新しい土窯をつくっているので、窯の作り方を覚えて、構造を理解する機会なので手伝いに行っていて、力を使い果たしたようで今日は朝、体が動かなかったので休んでいた。

なので、今日も3食カレー。

4日目かな。

大きななべで数日分つくって食っているわけではない。毎食その都度作っている。


「洋食屋のようなやさしいけど、深い味にするにはどうしたらいいんだろう...」

と考えながら、毎回違う作り方をしている。


今日試してみたことは、インスタントコーヒーを入れることだった。


よく隠し味にチョコレート入れるとか、インスタントコーヒーを入れるとか本とかテレビで言っているけど、俺はそういう変な隠し味が大嫌い。

チャーハンを作るときに、炒める前に卵をからませておくなんてテクニックも大嫌い。ご飯はパラパラになっても、味がたまごごはんみたいな味がするじゃねえか。チャーハンじゃなくて、別の食い物になっているじゃねえか!

という感じに。

しかし、今日は万策尽きて、というより家にある食材で使えるのがインスタントコーヒーだけだったので、ちょっとふりかけたつもりが、かなりドッサリと入ってしまった。

結果は...


なかなかいい。量がかなり大目だったので、隠し味ではなく、モロにコーヒーの味を感じたりしたけど、なかなか。使えると思った。

究極のカレーの食材のひとつに入れておこうと思った。

2010年9月8日水曜日

洋食屋のカレー

2年位前にやっていたTBSドラマ「流星の絆」。

両親を殺された3人の子供たちが、14年後の時効直前にも

「犯人を見つけ出して、殺してやる」

と、協力して調査していく物語。


2年前は、途中、途中と、最終回だけみたので、ブツ切れだったのと、ハヤシライスが気になって見てしまった。


殺された両親は「アリアケ」という洋食屋を営んでいて、そこの看板メニューがハヤシライス。そしてそのハヤシライスが調査の手がかりになったり、子供たちの思い出に記憶だったりと、重要なテーマのひとつとなっている。


「ハヤシライスって、そんなおいしいものだったろうか?」

と、スーパーでレトルトのハヤシライスを買ってきた。おいしくなかった。洋食屋さんが丁寧につくるハヤシライスは、どんな味がするんだろうか...と気になった。



時を同じくして、僕が10年ほど前にアルバイトをしていた燕三条地場産業センターの1Fにある「レストラン・メッセピア」へ、食事に行ってきた人の話を聞いた。

話をしながら、

「あそこのカレー、おいしかったよな...」

と思い出した。


第3セクターの建物のようなところに入っているレストランだけど、中身は「洋食屋」の要素が濃い。スパゲティとか肉料理とか何でもおいしい。

カレーの味も、市販のルーで作るのとは全然違う味。

その昔、材料置き場に、業務用のカレールーを見つけて、

「これで作ってるんですか?」

と聞いて、

「そう。これにいろいろと足しているけどね」

と教えてくれた。

そこで、業務用スーパーでたまたま同じルーを見つけたので購入して作ってみると、超マズイカレーができた。

あの昭和の主婦の味のようなSBのカレー粉だけで作ったような。複雑な味になれてきた平成の時代には、あまりにシンプルに感じて不味く感じた。

「いろいろと足している」

というのは、どんだけいろんなものを足しているのだろうか?こんなルーをあんなおいしいカレーにするなんて、さすがプロだ、と関心してから10年がたった。


ドラマを見れば、ハヤシライス。 夢を見れば、カレー。

あれから、毎日カレーを食うようになった。今日で3日目。ハヤシライスは、納得のいくカレーができてから。

今はインターネットが便利なので、

「洋食屋 カレー 作り方」

など調べてみると、出てくる出てくる。


そこでわかったことは、洋食屋のカレーが、自分でルーを使ったカレーと違うのは、カレーというよりも、ビーフシチューを作るような感覚で作っているかららしい。

一番簡単なレシピは、

「カレーのルーを通常の3分の2に。ビーフシチューのルーを残りの3分の1入れる」

とあった。

また、デミグラスソースを使うレシピもあったり、たくさんの赤ワインを使うレシピもある。

共通しているのは、やっぱりカレーというより、ビーフシチューを作るような感覚のようだった。ビーフシチューカレー風味という感じで。


今日は、一番簡単なカレールー3分の2、ビーフシチュー3分の1の作り方で作った。似た味にはなったけど、納得がいかない。もっとやさしくて深い味だ。

思うんだけど、「洋食屋」というカテゴリーって面白い。世界に「洋食」というカテゴリーはなくて、日本にだけある。しかも、外国の食べ物かといえば、ほとんどオリジナルの日本料理。

明治以降、西洋の味を想像したりしながら作ったんだろうか。ラーメンも中国には日本のようなラーメンはないようで、中国生まれのほぼ日本料理。

共通しているのは、本場の味がわからないからこそ、謙虚に料理に向き合っていった結果、できて普及していって、現在でも「洋食」というカテゴリーで人気があるんだろうなと思った。

ビーフシチューのルーを使った「洋食屋」風のカレーは、手を抜きすぎていて、謙虚さがなかったからあまりおいしくなかったのかもしれない。

簡単で、かつ丁寧で、かつおいしいカレーをつくりたい。