ドイツでのバイオ炭の事情についての興味深い記事を、いつも翻訳をお願いしている澤田さんから訳していただきました。
ドイツはエコの先進国のようなイメージもあるし、原発も廃止の方向でいるようですね。脱原発とかも国の方針として大胆に進めていくことができるのも、こういったいろいろな人たちの取り組みが芽を出し始めているからというのもあるかなと思いました。
現代のテラプレタ、というのは表現もいいし、下水というのはよく考えると栄養分を流してしまうのでもったいないというのもなるほどと思いました。
炭が活躍できる分野はたくさんありそうです。
原文はコチラの国際バイオ炭イニシアチブのサイトのレポートです
http://www.biochar-international.org/Closing_the_loop_in_Germany
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新エネルギーの生産で世界をリードするドイツが、バイオ炭の研究者とその実践者の強力な集団を有しているのは、大きな驚きではない。
バイオ炭の研究状況を見るチャンスを逃さないように、フランクフルトで行われる国際バイオ炭イニチアチブのミーティングに出席する1日前にドイツを訪れた。
フランクフルト在住で開発の専門家であるChrista Roth氏(GIZマイクロガス化マニュアルの著者)は、進行中のバイオ炭研究状況を調査するため、ヘングスベチャーホフにあるギーセン大学とパラテラ社のバイオ炭施設への訪問に同意してくれ、訪問をセットアップし、運転までしてくれた。
**写真キャプションの説明***********
Terra Preta Closes the Loop in Germany博士はバイオ炭のサンプルを見せてくれた。
クラウディア・カンマン博士は学生のバイオ炭実験を指導した。
アンドレダウム氏はパラテラ社の生産工程を説明した。
パラテラ社の土の販売袋
ヨアヒム・ベッチャーーは、彼のバイオ炭農園で、バイオ炭と排泄物で作った「現代のテラプレタ」のバケツを指差して見せてくれた。
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バイオ炭の多様性
我々は研究者のクラウディア・カンマン博士とフランクフルトの北60キロにある、ギーセン大学植物エコロジー学部の彼女の実験室にて面会した。
カンマン博士は、多様なバイオ炭と水素炭(hydrochar, 熱水素処理炭)に関し、それらの特性を調査・研究している。
彼女の最近の出版物は、バイオ炭の干ばつへの耐久性に対する役割や、植物の砂地での金属吸収、そして現在開発中の簡単で安価・容易な生物毒性試験(様々な、虫害忌避性と発芽性に関する)に関するものであり、これらの技術は、炭素化した材料(charred material)中での毒性物質を正確に同定するだろう。
カンマン博士の良く保管されたバイオ炭のサンプル棚を見た後、学生の温室でのバイオ炭研究を見て、FACE(濃厚CO2の試験場)に向かった。FACEは、欧州で最長の調査期間を有する試験場であり、管を通して土着の草地にCO2を吹付け、エコシステムが高濃度CO2にいかに反応するかを調査している。
カウマン博士は、格子状のバイオ炭試験場を見せてくれた。そこで学生のソニヤ氏は、バイオ炭における炭素の長期の安定性について、C4植物のミスカンサス(同位体C13で印をつけて調査)を用い、従来の材料と水素炭(hydrochar)を使用した場合とで、比較・試験している。
また主要な研究テーマとして、バイオ炭で強化した土壌における温室効果ガス発生量(CO2, N2O, CH4)をも試験し、さらに、生産量や植物群の反応の違いについても、他のバイオ炭とで比較調査している。これらのFACEでの試験の位置づけは、植物成長と環境の状態に関する大量の基礎データを、試験結果の解析に生かすことである。
美味しい昼食を急いで取り、南下し西に向かってドイツ・ラインランド州のヘングストバチャーホフ村に行き、パラテラ社のバイオ炭コンポスト試験事業所を訪問した。
パラテラ社は、下水処理コンサルタントのAreal GmbH社と事業ディベロッパーのジュビ社との合弁事業所である。 我々は着いてすぐに炭化機(Pyreg GmbH製の連続式回転高温炉。バイオ炭生産は11kg/hr)を見た。
その日に装置は動いてはいなかったが、数台の大型のバイオ炭格納容器があった。小型の熱処理炉が子供の夏キャンプ場の隣にあり、フィッシャー氏はこのプラントの炭素排出量は殆どゼロだと言った。
材料は森の残材の木チップで、炉の温度は400-600℃(温度は炉内の場所で異なる)である。
将来の計画には、他の材料(スイッチグラス、設備内の下水スラッジ)も利用し、隣接するコンポスト設備での排熱活用が含まれている。
アンドレダウム氏は、コンポスト運転の見学ツアーをしてくれた。
数台の容器を有する温室は、新テラプレタ工程(年に1500m3製造)の心臓部である。
その主な材料は、森の廃材、近くの豚舎の処理漕のスラリー、そして、ここで得られるバイオ炭である。
製造プロセスは、4週間のみで終了する次の4つの工程からなる。
①木質廃材とバイオ炭を処理液に浸漬工程
②好気性の熱分解反応工程
③気性の酪酸発酵工程
④乾燥と袋詰めの工程
パラテラ社の設備はティピ村の古い農場にあり、娯楽と接客の場であり、設備は美しく整備され客に供されている。
」
ヨアヒム・ベッチャー氏(Areal GmbH社のCEOでパラテラ社の共同設立者)はこの地に住み、訪問者からの収入は彼の仕事を支えている。それだけではなく、灰色と黒色の廃棄水(訪問者と従業員からの下水)が、実験設備の土壌処理場で役立てられている。
ベッチャー氏は、持続性を長期間保つには、我々は全ての廃棄物を、古代アマゾン人や他の伝統的な社会におけるように循環させるべきだと信じている。彼の究極の目的は、人間の廃棄物を大規模にテラプレタに取り入れることであり、下水処理設備を置き換え、さらに水を節約することである。
下水の代替方法を開発する見返りは大きい。ベッチャー氏曰く、ドイツでは、下水に流れ込む水の方が上水よりコストがかかっている。現在の下水処理では、栄養分を再利用できないだけでなく、好気性処理がなされており、温室効果ガスが放出されている。
多くの公的資金と投資がEU他からすでに集められており、パラテラ社の事業と、モルバッハエネルギー村近くの巨大工事が受け取っている。
ベッチャー氏の発想はかなり先を行っている。彼はテラプレタを「世界の重要なイノベーション」と呼び、
北アフリカ地域で導入して、EU市場に野菜を供給したいと考えている。
この案を拡大のため、パラテラ社はフランチャイズライセンスのオファーを出し始め、特許の公開と、教育するための月例作業部会を始めた。
ベッチャー氏は緑あふれるバイオ炭農園を見せ、プラスチックの容器を指し、どのようにバイオ炭と廃物の利用を数年前に始めたかを語った。彼は“これまでの常識を破壊し、古代のテラプレタ生産を蘇えらせた”と述べた。
彼はおそらく、それができた。しかし古代アマゾン人が行った本当の手法は誰も知らない。
ベッチャー氏の手法は正しいと極めて簡単に認められるが、おそらくより重要なのは、テラプレタの正しい手法ではなく、持続性ある生活のための社会的な規範を、この小さな惑星上でどう作るかである。
クラウディア・カウマン氏は、フランクフルトに戻る前にパラテラ土の袋をバイオ炭のサンプルコレクションのため、車に積み込んだ。
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