とはいうものの、人生でこの言葉を聞いたことがたくさんあるわけではなく、「風が吹けば桶屋がもうかる」的な理屈が理解できないから、頭にこびりついている。
普通のイメージからいったら、
本を読む→知識がいっぱい頭に入る→頭がよくなる→仕事ができるようになる→収入が増える
というようなイメージだろうか。
しかし、日本人はアメリカ人と違って人口のあらゆる層の人たちが本を読むらしい。であるならば、全員が成功者であってもおかしくないはずだ。(あっ、日本は豊かだから、本当にそうかも。でもこれはちょっとおいておく)。
また、本屋に売っている本を見渡してみても、結構多くが、いわゆるコンプレックス産業という
1.お金
2.頭がよくなる
3.痩せる、健康になる
というような、多くが刺激的なタイトルで、どう考えてもアカデミックな学びがあるものではなく、「誘惑された」とか、「希望を持ちたい」とか、「スカッとしたい」というような感じのものが多い。
しかも文字がでかくて、話し言葉で書いてあるような感じで、どう考えても漫画に比べてどちらが内容が濃いかと聞かれれば、漫画と答えてしまいたくなるような本ばかり。
最近はドラッカーをかいつまんだものとか、ニーチェをかいつまんだような本もあって、こういうのを読んだからといって、成功者になれるのだろうか。。。という疑問が湧いてくるのである。
そもそも「成功者は本を読む」という言葉は本当かと考えると、
あの頭がいい化け物のような感じのする大前研一さんですら、「私はほとんど本を読まない」と言っている。
まあ、大前さんレベルになれば、本を読まなくても最新の情報や考えを持った人たちが回りにうじゃうじゃいるので、その人たちと話をしているだけで、本を読むよりも効率のいいことをしているかもしれない。
また、頭の回転がもともと早い上、マッキンゼーでロジカル思考とか訓練されているので、新聞とかネットニュースとか、普通の人と同じ情報源に触れていても、頭の中で描かれている世界が全然違うということが考えられる。なので本を読む必要がないのかもしれない。
また、クロフネという居酒屋の中村文昭さんの師匠の田端さんという方も、成功者に数えられる人だと思うけど、本を読まないという。
本を3行くらい読んでいるだけで、疑問が10個ぐらい浮かんできて、先に進まないのだという。テレビとか新聞も読まず、何が情報源かというと、温泉に行ったときとかたまたまテレビがついていて、そこでたまたま見たものが情報源なのだという。
この田端さんも、温泉で流れているテレビを十数秒とか見ただけなのが情報源ということは、やはり大前研一さんと同じように、普通の人と同じものを見ても、頭のなかでくみ上げられている解釈やストーリーが全然違うものであるのではと思う。
他はよくわからないけど、成功者には本を読む人もいれば、読まない人もいるようだ。
これだけでも、「成功者は本を読む」という理屈はちょっとおかしい。本屋が、本を売るために、それこそコンプレックスをあおるために作った言葉なのではないかと疑う。
これがアメリカだったらどうだろうか?この言葉はアメリカなら成り立つかもしれない。
なぜなら、日本だと人口のあらゆる層が本を読む。学歴のない人も、収入の少ない人も、中流の人も多くが本を読む。読んでいる内容はコンプレックス産業だったり、ニーチェをかいつまんだ絵本みたいなものだとしても本を読む。そういうのは結構日本人の粋な特徴だと思う。
アメリカでは、人口のトップ20%とか5%とか、高学歴で、仕事のできるビジネスマンみたいなのしか本を読まないそうだ。
なので、アメリカの本屋に行くとだいたいパッとしないというかシブいタイトルや表紙の本ばかりだし、その厚さも大学の教科書のようで、わら半紙のような薄い紙で5cmくらいあるようなのが多い。
これが、日本語に翻訳されると、内容の半分か3分の2はカットされるという。なぜなら日本人はかいつまみ本とか、絵本や漫画のようなものしか読まないというか、全ての層を対象にしているから。
こういう分厚くて、内容がめんどくさくて、でも濃いようなものを読んでいるアメリカの高学歴やエリートビジネスマンが成功するというのはなんとなくわかりそうな気がする。
田村耕太郎さんによると、アメリカのエリートは筋トレやジョギングをガンガンしまくるという。
このジョギングやジムでの筋トレも読書と一緒で、トップ5%とか20%とかがやるものらしい。日本だと結構普通のおっちゃんやおばちゃんがジョギングしたりしている。
あるブログを読んでいたら、アメリカに行ったときに朝ジョギングをしていたら、身分の高そうなおっちゃんたちばかりで、話す機会もあったという。それで、仕事は何かと聞かれて、「介護の現場です」と答えたら、「ハア?そんな労働階級が何ジョギングしてんの?」というような態度になったという。態度なのでホントかどうかわからないけど。
しかしアメリカの映画とかで、読書をしているシーンや、ジョギングをしているシーンが挿入されているのは、「この人はエリートですよ」という背景を説明するために使われることが多いらしい。
そのため、アメリカでは、
「成功者はジョギングをする」
「成功者は本を読む」
というのがイメージ的に成り立つように思う。疑問がたくさん湧いてくる「成功者は本を読む」という言葉は、もしかしたら輸入ものなのではないか?
であるとしたら、違う読書文化を持つ日本には成り立たないのではないか?と思う。
そこで、日本人的に「成功者は本を読む」というのを実現したいのなら、気をつけるべき読書の仕方は、
1.自分がつまんだ本が、誘惑されたのか、それとも向上心や仕事に役立てるためのものか確認する。
2.誘惑された本だったり、内容の薄そうな本だった場合、その本を鵜呑みにするのではなく、著者のネタ元を確認する。ネタ元は、巻末の「参考文献」とかに書いてあったり、本文内で引用されていたりする。
3.ネタ元になっている本はもうちょっと濃い内容の本なのでより勉強になる。でもだいたいこれもかいつまんだような本なので、またネタ元を見る。
4.ネタ元の本が英語の原書だったり、日本語でも分厚くて触っただけで頭がくらくらするような本だったりする。
5.ゆっくりでも一生懸命読んでみる。大体内容は理解できないので、またそれを薄めたようなかいつまみ本を参考書として読み返しながら、また分厚いネタもとの本と格闘して読む。
というのがいいんじゃないかな。
下はかいつまんだ本があるかどうかわからないけど、分厚くて、手にとっただけで恐れをなしてもらう本の一例。
「読書ひゃっぺん」て意味100回読めという認識があっているかわからないけど、100回読んでもスルメのように味の出てくるような本と向き合える人は成功しそうですね。
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