80歳くらいの腰が90度以上折れたばあちゃんが、「あのクソ坊主が」と何度も言って文句を言っていた。
言っていることはよくわからなかったが、多分、
「あのクソ坊主のやろう、葬式でロクに念仏も唱えないくせに、食事のオリだけは持ってかえりやがった」
みたいな内容だったような気がする。
内容はともかく、80歳のばあちゃんが普通に、「クソ坊主」と読んでいて、聞いているこちらも、特別な違和感なく聞いてしまったのにすごく違和感を覚えた。
頭に「クソ」がつく職業はほかにあるだろうか?
嫌われる職業として考えられるのが、先生。しかし、「あのクソ教師が」とはあまり言わない。言ってしまったらなんか大変失礼な気がするし、80代のばあちゃんにしたら、教師がまだ尊敬できる時代の人だったと思うので、より言わないと思う。
では公務員はどうか。「あのクソ役人が」ともあまり言わない気がする。言ったら本当に真剣に憎んでいるような気がする。
ばあちゃんたちに一番関わりがありそうな農協の人はどうか。「あのクソ農協職員が」とも言っている姿はあまり想像ができない。
こう考えると、頭に「クソ」をつけても違和感がないのは坊主だけではないのか。しかも、坊主は職業の正式名称ではなく、正式名称は多分「僧侶」。
僧侶と書くと、えらい尊敬される職業のような気がする。テレビに出るたり、本を出したりしている人は、「僧侶」と書いてあったりする。
でも、普段、念仏唱えたり、説教したりするのは、「坊主」。
酒飲んだり、念仏一生懸命唱えなかったり、説教がくさかったり、外車乗っていたりすると、とたんに「クソ坊主」になる。と思う。
もしかしたら、テレビでえらそうに人生相談している「僧侶」も、地元に帰れば、「あのクソ坊主、テレビで偉そうなことぬかしてたけど、クソ坊主らねっか。クソ坊主のくせして」
といわれているかもしれない。
頭に「クソ」がついても、なんというか、こき下ろすような感じにはならずに、なんとなく親しみが感じられる職業は坊主くらいかもしれない。「クソ坊主」と呼ばれることは、地域の皆さんに愛されている証?
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