2010年12月13日月曜日

低炭素杯への応募

こんにちは。

昨日は多くの時間を書類作成に使いました。

チャコールブラックスの活動を「低炭素杯」という、いろいろな団体が温暖化防止に関する地域活動を報告し、学び合い、連携の環を広めていくという場への応募をする予定です。

書類審査に通ると、2月の全国大会で環境大臣賞に向けたプレゼンをする機会があるようです。

今年はコツコツと炭を焼いただけで、まだ大きな取り組みになっていないので、こういうものに応募する気分としては風車に立ち向かうドン・キホーテのような滑稽感があります。

それでも応募するのは、炭が日本の山を守るだけでなく、温暖化を含め、貧困や森林破壊、食料危機などを改善していく方法のひとつである認識が全くといってない現状に少しでも道を切り開いていくために、できることは何でもしたいと思って書類を作成しました。

ちなみに、チャコールブラックスが今年、炭焼きによって削減したCO2量は下のように計算できます。

1700kg×{CO2(分子量44)/C(分子量12)}×85%≒5,298kg

どういう理屈でそうなるのかは、続きを読んでみてください。


【小学生の活動にチャコールブラックスは負けた...】

北米やヨーロッパ、オーストラリア、そして中国でも、バイオ炭を使った温暖化防止を含む様々な問題の解決は注目されていて、活動をする人や団体、動くお金も多い。

(バイオ炭とは、農業廃棄物や材木として使えない木を炭にしたものです。)

学校での取り組みも多く、昨日オレゴンのDoom Schoolという小学校のプレゼン資料を見ていたら、チャコールブラックスを上回る活動をしていることがわかり、衝撃を受けました。

海外の環境活動家の多くがバイオ炭に関しての発言をしているからだということもあるでしょう。

主要メディアでも、環境や農業に特化したニュースでも、バイオ炭の記事を目にしない日はありません。

一方、日本では、検索しても出てくるのは、多くが自分のブログばかり...。しかもアメリカの小学生に負けている...。


【バイオ炭はバスケに例えると4点分の働き(by スラムダンク)】

炭によるCO2削減は、省エネとかに比べると直感的に理解できるものではなく、わかりにくいものです。

ゴミを減らしたり、電気や車の使用を抑えたりすることでCO2削減ができるのは直感的に理解できます。

車や工場、焼却炉から出る煙は、明らかに環境に悪そうです。

炭によるCO2削減は、見えにくいところからです。

人為的なCO2排出量の最も多くを占めているのが農業です。

ガイア理論の提唱者で生物物理学者のジェイムズ・ラブロックさんによると、人為的なCO2排出が30ギガトンであるのに対し、地球の生物圏からは、毎年550ギガトンのCO2が放出されているといいます。

夏の間に植物が吸収した炭素の99%は、バクテリアやセンチュウ、昆虫などによって、1年くらいのうちに大気中に放出されてしまうからです。

バイオ炭を作ることは、このように見えないところで放出されている農業や林業の廃棄物によるCO2を、炭素のかたまりにして固定すること。

炭焼きは、木を燃やしているし、煙も出ているので、逆に環境に悪いイメージになりかねません。

実際には、燃やしているのではなく、「熱分解」という技術で、有機物の炭素以外を蒸発させているのです。

炭素をほとんど燃やしていないので、CO2はほとんど放出されず、煙は木酢液やバイオ燃料となり、さらに高熱を発するので、使うとCO2削減になる「カーボン・ネガティブ」なエネルギーとして注目されています。

これはたとえていうと、漫画の「スラムダンク」で、主人公の桜木が味方のリバウンドを取ることで、相手の得点チャンスを失わせ、味方が点を取れる「いわば、4点分の働きということだ」と安西先生に教えられるシーンに似ています。


【貧困の改善、森林破壊を防ぐことにもなる】

固体化された炭素は、土壌に入れることで、痩せ地では収穫量が平均して約2倍になるため、やせ地であることが貧困の一因になっている国では、貧困を改善する希望のひとつとなっています。

気候変動にも耐えられる農業ができる希望もあるので、すでにオーストラリアなどでは農業が温暖化で大ダメージを受けているので、余計一生懸命なのかもしれません。

世界では、いまだ、30億人の人が薪をエネルギー源としていて、そのために収入の半分近くをエネルギー代にするなど貧困に拍車をかけ、違法に伐採されている場合が多いので、森林破壊にもつながっています。

これをバイオ炭を使うことで、枯れ草や農業廃棄物などを熱エネルギーにし、副産物のバイオ炭まで作れるようになります。

荒野に植林をするときに、バイオ炭を入れることで水の使用を減らした上、安定して成長するので、「Black is the New Green(黒は新しい緑だ)」とも言われています。

もともと土壌が豊かな日本でも、化学肥料の量を減らすことができるし、農業だけでなく、建築など生活の中に使う文化もある。


【眠れる巨人、日本】

バイオ炭が日本で温暖化をはじめとするいろいろな問題を解決する手段として考えられていないのは、炭が昔からある当たり前の文化となっていて、それと近代的な問題と結びつけられなかったからかもしれません。

炭を使う文化がバーベキュー以外あまりなかった外国では、2003年頃に研究が発表されたのですが、この発見に「これで世界は良くなる」と興奮し、多くの人を巻き込んだ活動になり、そのエネルギーが国を超えた動きになっている。

非営利団体だけでなく、たとえば、モルディブ共和国は、英国の技術企業CarbonGoldとココナッツの殻などからバイオ炭を製造することで提携することを今年発表しました。

海面上昇により、国土が消滅する危険にさらされているモルディブは、バイオ炭の製造でCO2を削減し、農業用肥料としてバイオ炭を利用する計画です。

自然が豊かな日本では、農業廃棄物まで炭にしなくても、里山や竹林、家の庭などにももったいないものがたくさん転がっています。

まずは、これらを整備して、炭にしていくところから始められます。

世界一の炭の技術力を持ち、数百年数千年にもわたる炭の文化を持ってきた眠れる巨人である日本が目覚め、温暖化や貧困、森林破壊などの地球規模の問題解決に貢献できるようにと、「低炭素杯」の書類を送ります。

バイオ炭の海外事情や、温暖化や貧困などの関係は、チャコールブラックスのウェブサイトに情報がありますので、読んでみてください。

http://www.charcoalblacks.jp/

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