2010年11月18日木曜日
CNNニュース:「バイオ炭は地球を救えるか?」
http://edition.cnn.com/2009/TECH/science/03/30/biochar.warming.energy/index.html#cnnSTCVideo
ジョージア大学のキャンパスの農業用私道の線路を越えたところに、エネルギーや食料生産、そして地球規模の気候変動の解決策のひとつになり得る機械が置いてある。
「この機械は我々の子供のようなものです」と、UGAリサーチエンジニアのBrian Bibensは語る。Bibensは、炭素リサイクルの新しい方法の研究をしている研究者の一人。
Bibenの専門はバイオ炭。バイオ炭は、有機廃棄物から作った多穴質の炭。材料は、森林や農業の廃棄物、動物の排泄物などから作られる。木材チップ、とうもろこしの皮、ピーナッツの殻、鶏糞などである。
Bibensはそれらの有機廃棄物(バイオマス)を500度以上もの温度にも加熱する金属の八角形の容器に入れ、「熱分解」と呼ばれる方法で加熱する。
数時間のうちに、農業で肥料として使うことができる炭のペレットになる。熱分解の過程で出てきたガスは、バイオガスとして、車や発電機の燃料として使うことができる。
多くの科学者たちは、バイオ炭のことを、「黒い金」と呼ぶ。
高い炭素の合有量や、多孔質の構造は、土壌が水分や栄養分を維持するのを助け、微生物を増殖させ、炭素を自然に土壌に固定することにもなるので、CO2の削減にもなる。その結果、作物の収穫量を増やすことができる。
バイオ炭は2つの方法で大気を浄化する。ひとつは、有機廃棄物が自然分解される過程で大気に放出されるCO2を出さないようにすること。もうひとつは、光合成の過程で植物内にためたCO2も固体化しておくことである。
「土壌が巨大な炭素のプールになるのです。この炭素のプールを増やすことで、大気中のCO2を大きく減らすことができるのです。」と、バイオ炭研究の先駆者のひとりであるChristoph Steteinerは語る。「それは、カーボンネガティブのエネルギーを作る機会にもなり得るのです」。
世界的な規模でバイオ炭を使用することで、大気中のCO2を50年以内に8ppm削減できると、NASAの科学者であるジェイムズ・ハンセンは語る。
NOAAによると、地球規模の炭素濃度は1980年以降、警戒レベルにまで上昇している。1980年代には、年間1.5ppmの上昇だったところ、2000年以降、1年間で2ppmが当たり前になっている。
バイオ炭の製造プロセスは、価値のある他の製品の製造にもつながる。
製造過程で発生するガス(煙の中に含まれる)は、電気やガソリンに変換することができる。さらにいくつかの医療関係の製品も副産物として製造することができると、EpridaのCEOのダニー・ディ社長は語る。EpridaはジョージアのAthensにある会社で、バイオ炭やその製造過程の副産物の応用を模索している。
科学者はバイオ炭をよりよい未来のために使うことを考えているが、その起源は過去にある。
南アメリカのアマゾン流域に住む原住民たちは、何世紀もの間、動物の糞や木を炭化したものを「テラ・プレタ」を作るためにつかっていた。テラ・プレタとは、ポルトガル語で「黒い土」という意味である。
数千年後の今、テラ・プレタの土壌は何の肥料も加えていないにも関わらず、肥沃なまま残っている。
専門家はこう語る
「テラ・プレタの土壌は500年以上前に作られているが、現在でも黒く、炭素の合有量が非常に高い」
と、ジョージア大学のシュタイナー教授は語る。
より広い耕作地を作るために、森林を破壊することを防ぐことにもつながる。
テラ・プレタの土壌は数千年間も豊かな土壌のままでいられたというバイオ炭を使うことで、の農業使用のために今以上の森林破壊を防ぐこともできる。しかし、地球規模でバイオ炭を展開する前に、より大きな規模でテストをしていく必要がある。
ダニー・ディは、今まで捨てられていたバイオマスはバイオ燃料や電気、バイオマス抽出物、医療品など、バイオ炭だけでなく、という完全に新しい市場へ発展させることができると語る。
気候変動のリスクにさらされている30億人の人々が気候変動を解決することで、お金を稼げるようにできると、ディは語る。
産業界は世界中の農家たちに目を向け始め、農業廃棄物に対してお金を支払うようになり、農家たちは新しい富裕層になっていくだろうと、ディは語る。
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