2009年11月14日土曜日

【炭の活躍】世界初の抗生物質ペニシリンと炭

病気の症状を止めることで治療する西洋医学に対して、免疫を上げることで病気を治癒させていく代替療法が盛んになるにつれて、ますます悪い評判が目立つ「抗生物質」。

がんやエイズなどの難病やアトピーみたいなアレルギーには効果を発揮していないような感じがします。

しかしTBSドラマの「JIN ‐仁-」を見たり、司馬遼太郎の「胡蝶の夢」などの作品を読むと、西洋医学によってコレラや結核や梅毒などの病気が少なくなって多くの命が助かっていることも知ることができます。

TBSドラマのJINは毎週楽しみに見させてもらっていて感動しているのですが、その中にただならぬことがでてきました。


前回の放送で、幕末で吉原の遊女たちが命を落としている梅毒に対して、当時まだ存在していなかった世界初の抗生物質のペニシリンを青カビから手作りをしようというのです。

ペニシリンを作るステップがJINの公式ページに掲載されていました。(絶対にマネをしないでください)。
http://www.tbs.co.jp/jin2009/report/

<ステップ1>
青カビの培養作業をする。
芋の煮汁と米のとぎ汁を合わせた液体を容器に入れ、液体培地を作る。
その上に、集めた青カビ(カビは27℃で一番発生しやすいそう)を移植する。

<ステップ2>
ペニシリンの抽出作業を行う。
蓋つきの陶器の樽の上に綿をつめたじょうごを置き、その上から青カビの培養液を流し入れ、培養液をろ過する。

ろ過した液体の中に、菜種油を注ぎ、樽の中を棒でかき混ぜる。
この作業によって、樽の中の液体が「油に溶ける脂溶性物質」「水にも油にも溶けない不溶性物質」「水に溶ける水溶性物質」の3種類に分離する。

樽の栓を抜き、一番下に溜まった水の部分(水溶性物質)だけを別の容器に移す。
ペニシリンは水溶性物質のため、この部分に溶けているということになる。

ペニシリン溶液からさらに不純物を取り除く。
煮沸消毒して砕いた炭を入れた甕(かめ)にペニシリン溶液を流し込み、再びかき混ぜる。「ペニシリンは炭に吸着する」性質があるため、炭のみを取り出し、容器(※注ぎ口と排出口のついたもの)に詰めかえる。

煮沸蒸留したきれいな水を注ぎ口から流し込み、不純物を洗い流す。
さらに純度を上げるため、今度は酸性水(お酢と蒸留水を混ぜたもの)を注ぐ。ペニシリンは酸性物質のため、酸性水で洗うことによって、炭に吸着しているアルカリ性の不純物質を取り除くことができる。

最後に、容器の排出口に綿をつめた(フィルターの働きをする)器具を取り付け、受け皿となる容器を用意。注ぎ口から重曹を溶かした蒸留水(※アルカリ性)を通す。これによってペニシリンは炭から溶け出し、排出口からは純度の高いペニシリン溶液が抽出される。

<ステップ3>
ペニシリン抽出液の薬効を調べる。
半合ずつに分けたペニシリン抽出液を、患者の膿から採取したブドウ球菌をなすりつけた寒天培地に少しずつたらす。蓋をして数日待つ。

ただならぬところは、青くして太字にしたところです。

こんな現代でも使われている医療の薬を作るのにも炭が使われているなんて感動です。

そしてすごいのは、炭がペニシリンだけを吸着するというところです。


炭が水の中の有害物質を吸着したり、体の中の毒素を吸着したりするのは有名な話ですが、眉唾モノである感じがするのも否定できません。

もし炭がスポンジのようなものだったら、有害物質も水も、体にいいものも吸収してしまうでしょう。

しかし炭はなぜかピンポイントで有害なものだけを狙いすませて吸着しているようです。

ペニシリンは医療で正しく使われれば薬ですが、抗生物質は、「毒をもって毒を制す」というものなので自然界から見れば有害なものに変わりはありません。

こんなところにも炭のすごさを見た気がしました。

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