2010年5月4日火曜日

日本の山の守り神

今日は笹神竹工房の真水(しみず)さんのところにお邪魔させてもらいました。

真水さんとは、去年の越後炭焼きの会の総会でお話する機会はなかったのですが、去年の秋くらいに、越後炭焼きの会で、山梨の身延竹炭企業組合へ視察へいったときに初めてお話しました。

謙虚な人だけど、筋肉隆々のたくましい人で、山小屋にいたスズメ蜂3匹を追い出そうとしたら、3匹にさされた、ということを言っていたのが衝撃的でした。

スズメ蜂に刺された後、竹酢をつけておいただけだけど、大丈夫だったそうです。

しかも、よく聞くと、その山小屋ももらってきた古い電柱を柱にして、自分で山を間伐してきた間伐材を使ってほぼ一人で作ったといいます。

また、炭焼きも素人だったのを、設計図を仲間からもらい、窯も自分で作ったという、なんだか自分とは次元の違う人だと思って、いつか炭焼き小屋や、山小屋に行きたいと思っていました。

電話で炭焼き小屋のだいたいの場所を昨日のうちに聞いておき、今日は朝6時に出発。笹神はかなり遠い。

目印は「赤い旗」。

何の赤い旗かは聞いていなく、とにかく赤い旗が目印。

「もうすぐだろう」

と思ったあたりに、ラーメン屋があり、赤い「ラーメン」という旗を何本も出していた。

さらにその先に、セーブオンがあり、

「食パン 98円也」

のような印刷が入った赤混じりの旗が立っていた。混乱した。


しかし、ラーメン屋の旗なら、「赤い旗」ではなく、「ラーメン屋」と言ってくれるはずなので無視して進む。


するとかんばんの下に小さな赤い布がぶら下がっているのが見えたてそこに入る。

家が何軒かあり、ついに行き止まりになったので、近くでラジオを聴いていた人に、

「Kさんのお宅はどちらですか?」

と聞いた。Kさんは、真水さんが山を借りている地主さんの名前。下の名前も聞いてきたけど、メモを忘れてきた。

「ここには、Kって家、たくさんあるんだけど...」

と、このあたりはKさんだらけだった。

「味方から通っている炭を焼いている...」

と言ったら、となりのうちだよ、と教えてくれた。

Kさんの家のおばあちゃんから炭焼き小屋の場所を聞いて、田んぼを横切ると、せっせと動く真水さんの姿が見えた。



これだけで、「スゲェ...」と思った。

おれは、こんなにテキパキと動いているだろうか。

昨日、田んぼに行った小浦方さんと僕の共通の悩みであることがわかったのが、

「ひとりで作業してると寂しく、張り合いがない。」

ということ。田んぼに行ったり、炭焼き小屋に行っても話す相手がいなく、すぐに帰りたくなってしまう。僕や小浦方さんのような性格の人間は、「ひとりでもモチベーションを上げる方法」「ひとりにならない方法」を考える必要がある。

しかし真水さんは、今竹をいぶした工芸品をつくるいぶし窯を新しく作ったばかりで、なかなか以前の窯のような色がでないのでいろいろと研究中だった。

「山へ登る道は無限にある。1つの道を知るだけで満足したら成長はない。」

と、いろいろな人から言われたことのある言葉を言ったけど、これほど説得力のある人から、説得力のあるシチュエーションで言われたのは初めて。

上の写真では何をしているのかというと、自製の粉砕機で生竹をパウダー状にしている。

「現代農業」という雑誌の別冊に、竹パウダーの特集をやっていて、農業に使うとすごいことになると、いいことばかり書いてあったので、「本当だろうか」と、自分でモーターを買って、草刈機の刃を31枚重ねて作った。

知り合いの農家にほぼ無料に近い金額で渡して、検証中。結果がわかるのは夏以降になるけど、ハウスのきゅうりの木などは、「去年までのとは木の勢いが違う」という。


竹パウダーは、一昨日の田中優さんの講演会でも紹介されていた。

ある会社でも竹をパウダー状にして置いておくと発酵して乳酸菌が出てきて、乳酸菌が大好きな豚のえさにしていると。

「地域いは宝がたくさんある」

といわれていましたが、それを聞いたらすぐに実践している人がいる。

上の写真の左側はパウダーにしたばかりのもの。右の色が濃くなっているほうは数ヶ月間発酵したもの。

サンプルをもらってきたので、チャコールブラックスでも仲介していくつもりです。


これは炭焼き窯から出ている迫力のある煙突。

煙を冷やしてできる竹酢液は、煙突が長ければ長いほど多く取れる。煙突が4本に、足場まで組んでこんな見上げるような高さになっている。

オレの使っている窯の煙突は1mくらいしかない...煙突伸ばそう...



これが新しくつくったミニのいぶし窯。今日は竹パウダーを煙にしてどんな色が出るか実験中。


炭焼き小屋から1kmくらい上に上るとある手作りの山小屋。

この周辺の杉林などは真水さんがかなり間伐していて、きれいになっていた。こういう人は今の日本の山の守り神なんだろうなと思う。

山の地主の中には世代交代していた場合の多くは、この世代の人たちのように山に入って手入れをすることが少ないそうなので、それも問題のひとつだと思う。

「動物は出ますか?」

と聞くと、

「この間、クマが出たみてぇらな」

とサラリとした答え。クマも恐れてはいない。




中には薪ストーブがあります。



窓やテラスからはこんなすばらしい眺め!うらやましい!おれもこんなところに山小屋作りたい!


階段も超渋い。

こんな小屋を建ててしまうなんて、建築の知識や経験があったかと聞くと、何もなかったらしい。

設計図もなしに、頭のイメージの中だけで作り始めた。

最初は、4畳半くらいの昼寝のできる平屋を作る予定が、

「2階をつけたほうがいい」

「テラスがなきゃあかん」

と、人の話をきくたびに形が変わって現在の形になったという。




帰りに三条の西山さんの家に行って食事をごちそうになっていると、まどからきれいな花が見えた。

「ハナミズキだよ」

と教えてくれた。去年は咲かなかったけど、炭をいれたおかげか今年は綺麗に咲いている。



去年、このあたりの地面に穴を掘って、埋炭をしていました。

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